天井桟敷 映画のはなし -29ページ目

【そそる唇だぜ】

○ 『脱出』より




4人のうち、ひとりぽっちゃり系の男の人がいるんです。ダチョウの竜ちゃん似の。


この竜ちゃんとエド(ジョン・ボイド)は、川下りの途中2人組のワルモノに捕まってしまいます。


ワルモノの目的。


それは、レイプなのでした。

はい、男が男をです!!




まずはじめに、竜ちゃんがあっけなく犯されてしまいます。


そして、いよいよジョン・ボイドの番です。


迫る魔の手!



ワルモノA  【そそる唇だぜ・・・ヒヒヒ】


ジョン・ボイド   【・・・・・(やめて~・・・。)】



このシーンは、なんというか、ビジュアル的にかなり壮絶です。

そんな中、何が一番すごいって、ジョン・ボイド に対して、「そそる唇」 って言葉が出てくる点でしょうか。


『脱出』

タイトル: 脱出


1972年 アメリカ 原題 : DELIVERANCE 
監督 : ジョン・ブアマン  

キャスト : ジョン・ボイド、バード・レイノルズ、ネッド・ビーティ   


川のロケよくやったよな。

もう、シブキがざっぱんざっぱんすごいのよ。


カヌーで川を下りにやってきた、恐いモノ知らずの4人の野郎どもの話。

まもなくダムにされてしまうという、とても美しい川を見納めるためにやってきた彼ら4人。

ルイスっていうリーダー格が発案者だ。オレがきみらに川のすばらしさを教えてやるぜ、川が死んじゃう前な!

てことでみんなを連れてはるばる都会から山奥にやってきた。

楽しいカヌーでの川下りの筈だったが、途中事件に巻き込まれ、彼らは殺人を犯してしまう。

自首か、証拠隠滅か。


見た顔だと思ったら、ジョン・ボイドが出てた。

顔と名前 やっと一致しました。

当時、ゲイっぽいきゃらだったんだろうか・・・?


それにしてもこの映画、全編通してなんかやたら暑かったきがする。

野郎の汗と森と川ばっかり写るからかな。


蒸し暑い。 ちぇき!

『ブロウ』

タイトル: ブロウ


2001年 アメリカ  原題:BLOW
監督:テッド・デミ  

キャスト:ジョニー・デップ、ペネロペ・クルス



コレ、実話らしいですね。
70年代 アメリカ。
麻薬王といわれた麻薬の売人が、のし上がって大成功して、墜ちて墜ちて墜ちていく話。成功ってでかいほど怖いです。その裏側には、絶対それ相応の落とし穴があって、ひとは必ずそれに落ちる仕組みになってるらしい。
しかし。

人間がここまでどうしようもなくなるとと、やっぱせつない。
これ系の芝居はジョニーの得意技だろうから、余計に煽られた。
麻薬王のジョージはお金が欲しくて、というかただハッピーな生活がしたかっただけだ。そうなるために、お金と女性と派手な生活をてにいれたかった。
でも、本当のハッピー=愛する娘 てことに目覚めて、それこそを手に入れたいと思ったとき、彼の今までの偽のハッピーとはいわないまでも、思いこんでいたそれが がらがらと崩れて、彼はもうおっこちるしかなかったわけだ。

罪 犯したひとって、やっぱ救われないんですかねぇ。

60年の服役を食らっているこの麻薬王は、でも 彼と関わる人との関係をとても大切にしていたと思うんだけどな。
しょっぱい・・・


それにしてもです。

60年て。

普通に、長いよね・・・


「最後のシゴト」が終わり ついにジョージ逮捕にいたるシーンですけども。

このシーンは舞台仕立ての感じで ジョージの置かれた状況の取り返しのつかないさをこれでもかという感じに味あわされました。かなりつらい気持ちを煽られるし。

アジト?で大成功を仲間たちと喜び合うジョージ。
でも、どこか喜びきっていない仲間たち、それどころかはしゃぐジョージをどこかつらそうに見る彼ら。
そんな彼らに異変に感じるジョージ。
もっとつらそうな仲間たち。


ばたばたばた・・・。


突然、一斉に中に入ってくる警官たち。

逮捕されるジョージ。

(ジョージをはめる)役目が終わりその場を立ち去る仲間たち。

・・・・・。


ああ、もうみていられません。つらすぎて・・・(涙)



ちぇき。

『ドラキュリア』

角川エンタテインメント
ドラキュリア DTSスペシャルエディション

2000年  アメリカ  原題:Dracula 2000
監督:パトリック・ルシエ  
キャスト:クリストファー・ブラマー、ジョニー・リー・ミラー、ジャスティン・ワデル、ジェラルド・バトラー

2000年  アメリカ  原題:Dracula 2000
監督:パトリック・ルシエ  
キャスト:クリストファー・ブラマー、ジョニー・リー・ミラー、ジャスティン・ワデル、ジェラルド・バトラー


舞台は2000年、ロンドン。
ある夜、ヘルシングが館長を務める博物館に窃盗団が押し入る。彼らは、金庫にあった棺を盗み逃走。しかし、その棺こそ、ヘルシングが100年前捕らえ、彼が監視し続けている“ドラキュリア”が封印されているのだった。
ヘルシングは、急いで窃盗団の後を追うのだが、“ドラキュリア”はすでに長い封印から解き放たれ、現代に甦る寸前なのだった。



ドラキュリア、美しかったです、本当に。

ドラキュア映画は、すきなのですが、実はあまりみていません。
でも、これはなにせ、シュマッカー監督がバトラー氏を「ファントム」役に抜擢する決め手だったらしい映画なので、みてみたのです。

うん、うん。確かに、なんてきれいで怖い吸血鬼でしょう。
恐ろしげで危険この上ない吸血鬼の雰囲気がかなり漂っていて、どきどきでした(笑)


とにかく、目つきがまずヤバイ。
目で演技する俳優はこれだから困ります。かっこよくて。
それと、バトラー氏の口元をくいっとあげる笑った表情がよくはまってたなぁ。

ドラキュリアは実は、あのひとだったという解釈は、あまりドラキュラものに詳しくない人間でも、ちょっと鳥肌がたちました。
ぞぞってきたよ。う、そうくるかーという様な。


ドラキュリアの過去、つまりは、あのひとだったときの映像が回想として出てくるのですが、かなり悲しかったです。
ドラキュリアは、人をばんばん殺害しますけど、血も吸いますけど、でもなぜこうなってしまったのかを見せつけられると、同情しちゃうのです。



ヘルシングの武器って・・・(汗)
ちぇき!

『ドラキュリア』について

あまりにも印象的だったので、ドラキュリアのシーンについてまとめてみました。


首を吊るユダ(回想シーン)

日没の丘の上の木で首を吊っているユダ。
このシーンはとても幻想的でした。

親友を裏切ってしまった、その重大さをあらためて思い知ったユダは、自分の犯した罪をなんとか許してもらおうと自ら命を絶とうとします。
でも、彼は死にませんでした。死なせてもらえなかったんですね。
そこまで神の怒りを買ったわけです。

罪を償おうとしても許してもらえず、永遠に神に死ぬことを拒否されたユダが苦悩する姿が哀しいです。


十字架をみあげるユダ(回想シーン)

自分が裏切ったために、処刑されたそのキリストの十字架の足下で、ユダは自分のした罪の重さにただ打ちのめされます。

十字架にかけられたキリストを見上げながらただ立ちつくすユダ。
彼の、顔面蒼白で呆然としながら、キリストを見上げている姿は何ともいえないです。
流れてくる涙にも気づけないほど呆然とした表情で、みているこっちがつらいです。
それがまた、美しいのですが(汗)
バトラー氏の哀しみの表情、やっぱりいいです。


キリストにキスをするユダ(回想シーン)

バトラー氏のキスは、軽めの犯罪に相当するかと・・・(涙)


キリストにキスをするユダ。
このキスが合図となり、キリストは捉えられた、と。
しかし色っぽかったな、あの“ちゅ”ってキスは(笑)


「最後の晩餐」が実写で再現されているのをみて、感動してしまいました。
すごく忠実に再現されてて、おお!と思いました。

キリストに変わらぬ忠誠を示すかのように親しげにキスをする、裏切り者であるユダ。
裏切られることをすでに知っていたキリスト。
この二人の関係はほんとに怖い。

ユダにキスされて、捕らえられた時は、追いつめられたのはキリストなのですが、結果的に以降重すぎる罪の意識を背負って、死ぬことさえ許してもらえずに生き続けるユダが、追い詰められる張本人となるわけです。
それなのに、このときのユダはそんな未来の自分のことなどこれっぽっちも思い描いてなくて、ただただ、
銀貨がもらえる(もしかしたら、親友を裏切る自分に、親友を出し抜けた自分に酔っているのかもしれません、ね)という感じ。
だから、すごく余裕なあのユダのキスは、とても色っぽかった、自分に酔いしれてハイになっているかんじがするから。


血について

忌まわしいドラキュリアの存在を“完全に消滅させる”ことに尽力するヘルシングが、実はドラキュリアの「血」に魅了されていたって設定はぞくぞくっときました。

ヘルシングは、自分の体にドラキュリアの血を注射して100年もの間生き続けてきたわけです。
ヘルシングの、罪の意識にさいなまれながらの注射シーンはかなりいい感じでした。
彼が100年間ドラキュリアの「忌まわしい血」によって生き続ける理由は、世の中をドラキュリアから守るため、であるんだけど、一方で「血」の誘惑に勝てなかった自分というのもいて・・・、その自分の罪を十分に知っているヘルシングは、いたたまれないのですよね。
ドラキュリアは、そのヘルシングの罪の意識を知っているわけで、なので、ヘルシングのその罪の意識の部分につけこんだりして、その辺の気持ちの駆け引きもおもしろかったです。
ドラキュリアを捕らえる役目を背負った人間でありながら、結局は、邪悪な「誘惑」にかてなかったヘルシング、いいですね、とても。


湖で「バレリーがニュースをお伝え」するシーン

水も滴るバトラー氏登場です。
というか、また善良な映画鑑賞者を餌食に・・・?
女性ニュースキャスターが湖でリポートしてるシーン。
湖からざばっとでてきたドラキュリアは、キャスターの背後から彼女をつかまえて首筋に爪でツツーっと傷つける。
みるみる彼女の首から出てくる赤い血。
その前方にいるカメラマンに、これ見よがしに「なんか、いけないことしてるオレ?」風なドラキュリアの表情があまりにかわいくて3,4分意識が飛びました(←長すぎ 泣笑)
そんな表情していいと思っているんですか、バトラー氏。
・・・もっとしてください。

バトラー氏の表情の振り幅はいつみても感心します。
これだけがらりと表情を変えられるのは、やっぱり達者であるとしか言いようがない。


ドラキュリアが、マリーに自分の正体を明かすシーン(イメージカット)

これでもかというくらい、イってしまっているバトラー氏が大変にみものです。

ヘルシングは、ドラキュリアの血を自分の身体に入れて生き延びているわけなので、ということは彼の娘であるマリーの体にも、ドラキュリアの血が流れているわけです。
いわば彼女は、血統書付きのドラキュリアの同類。

その彼女にドラキュリアは自分の血を飲ませます。

で、この後、彼は自分の首筋に、爪をあてて、すーっと血を流す。
流れる 鮮やかな 血。
トリップしているような、ドラキュリアの表情がほんとにまったくもって色っぽかった。
トリップです、完全に。どきどき。


屋上のシーン 

ドラキュリアがキリストに心の内を叫ぶ、というか、まぁ懺悔するところです。
バトラー氏のひとり芝居の舞台をみているようでかなりびしっときます(え?)

「お前には 私の辛さが分かるまい。激しい神の怒りに耐えてきた。
そのように選ばれたのだ。」

涙ぐむ、ドラキュリア。
このセリフとこの涙はとても辛かったです。

長い長い間のドラキュリアの苦しみを知る思いがして。

つらかったよねぇ、彼。

せつなさにまいりました。



ひとまずこんな感じでしょうか。

この手の映画みる自分に、まずは驚きますが、みてよかったなぁ、マジで。

こんなに印象に残るとは思ってもみなかったよ。

バトラー氏の所行によるので、かんしゃかんしゃ。