『パトリオット・ゲーム』  | 天井桟敷 映画のはなし

『パトリオット・ゲーム』 

パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
パトリオット・ゲーム アドバンスト・コレクターズ・エディション

1992年 アメリカ 
原題: PATRIOT GAMES   
監督: フィリップ・ノイス
原作: トム・クランシー
脚本: W・ピーター・イリフ
キャスト:ハリソン・フォード、アン・アーチャー、パトリック・バーギン、ショーン・ビーン、ゾーラ・バーチ、ジェームズ・フォックス


ある日、ジャック・ライアン(ハリソン・フォード)一家は、テロの現場に遭遇し、ジャックは偶然にもテロリスト集団の一人を射殺してしまう。

それにより、テロは失敗に終わり、ジャックは英雄として称えられることになるのだが、彼が射殺したテロリストの兄・ショーン・ミラー(ショーン・ビーン)は、殺された弟の復讐をすべく執拗にジャックの命とその家族を狙い始める。
ジャックは、家族を守るため、命を懸けてテロリストと戦うことになる。


【うっすらとネタバレありです。】




ハリウッド映画にけっこう良く出てくる、「アメリカの良き家庭」の描写がとても好きです。
お医者さんとか弁護士とかデザイナーだとかのパパとママ、それに学校入って間もないくらいの小さな女の子とか男の子とかが、たまに冗談とか言いながら、幸せににこにこ笑う、とかねそんなかんじがとてもすきなのです。

なんか、無条件に暖かくなるのでね。

ジャック一家は、まさにこの「アメリカの良き家庭」でした(笑)
ちなみに、ハリソンの奥さん役の女優さんと、娘さん役の女の子、雰囲気も顔もすごくよく似ていました。
あれ、まじに親子?と思ってしまうくらいに。クレジット見たら、実際は親子ではなかったですけれど。
娘さん役の女の子、すごくかわいかった。ちゃんとパパとママのいうことを聞くんだけど、お利口さんだからこそすこーしだけ生意気なときもあったりしてね、でもその加減がかわいくてすごくよかった。


ハリソン。この人は、わりと頻繁に危機に見舞われているような気がするのですが、今回もまた危機に見舞われていました。
弟をこよなく愛するとても凶悪なテロリストであるショーン・ミラーさんの弟を、たまたまころしてしまったばっかりに、もう延々命を狙われ続けるわけです、それはそれは執拗に。

どこかの先生から狙われているのではないか?と錯覚してしまうくらい執拗に。
もしも、たまたまころしてしまった相手が、ショーン・ミラーさんの弟ではなくて、別の人だったとしたら、こんなハメにならなかったのに、もうこれは運というしかないですね。


テロリストにつけねらわれることなったハリソンが、家族を守るために、どんどん荒っぽくなっていくさまが、あうって思いました。

この人、多分自分が狙われるだけだったら、そこまでテロリストに立ち向かったりしなかったと思うのですが、家族までもころされかけて、とうとう、もうゆるさんぞ君ら、という覚悟を決めるんですね。

そんな平静さを失った状況の中、言葉使いも荒くなって(女性がきらうことばづかい)、そばにいた女性に軽く軽蔑されるとこ、やはりあうって思いました。


テロリストのショーン・ミラーさん、彼はその”業界”ではテロリストのエキスパートのような人で、ハリソンごろしに相当の情熱を燃やすわけです。もうね、ハリソンも「ちょっと、まだ追いかけてくるんですか、おまえ?」みたいなね、そんな感じ。

そんなしつこさ全開なミラーさんなんですけど、でも、冒頭のミラーさんと弟の会話を思い出すと、ミラーの執念の燃やし具合も納得できるかなぁと言う気がします。

冒頭、ミラーさんたちテロリスト数名が、テロの作戦を実行にうつす前の、車の中での彼らの緊張感をみせるシーンがあるんですけど、そこでミラー兄弟もちょっとした会話を交わします。

そこで、ミラー兄は弟に、まさかおまえと”仕事”するようになるなんてなというような、弟を誇らしく思っているような、いつの間にかお前も一人前になったのだな、というような、そんな言葉をかけるのですが、その時の弟を見る目がすごくふわってあったかくてですね、弟を今までずーっと大切にしてきたんだな、この兄はと、ちときゅんてさせられるのですよ、迂闊にも(なぜ迂闊?)

そういう兄が、かわいいがっている弟を、正統防衛といえどもころされてしまったのだから、それはそれは執拗にハリソンをおいかけますね。

それプラス、ミラー兄は、弟を殺すくらいなら、自分が殺されたかったよとも思っているだろうから、自分自身にも苛立っているのかもしれんね。

そういえば、この映画のハリソンとの格闘シーンで、ショーン・ビーンはたしか目の上に(うろ)今も残る傷を負ったらしいのですが、そんな役者ダマシイが大変にいい、と思ったです。でも、痛かったよねきっと。しくしく。


冒頭、警察に捕まる前の、髪の長いショーン・ビーンにくらりと。

髪が長いと凶悪なテロリスト具合が増すのですが、色っぽさもまた倍増に。で、くらりと。

そんな凶悪なのに色っぽい人が、ワルそうな目で威嚇するところ、なんの罠なんですかと問わずにいられなかった次第。




筋金入りだそうだ。

ちぇき。